中小企業診断士ストレート合格体験記

中小企業診断士ストレート合格体験記

私の中小企業診断士の受験勉強の過程で経験したこと、考えたことを「中小企業診断士ストレート合格体験記」としてまとめました。
今後、中小企業診断士試験を受験する方々に向けて、なるべく具体的に書きました。
また、資格試験合格を目指す人にも読んでいただけると幸いです。

※2007(平成19)年度受験当時の内容に、追記を加えております。

中小企業診断士を目指した理由(第1話)

私が最初に中小企業診断士を目指したのは、1998年の大学院生の時でした。

大学院生時代に私が中小企業診断士を目指した理由は、経営コンサルタントという職種への純粋な憧れがあったからです。
しかし、就職活動と、自治会会長の仕事に追われる日々で、また、経営コンサルティング会社への就職活動にも失敗したこともあって、結局、当時通っていたTACの講義をすべて受講した時点で、勉強をやめてしまいました。

その後、私は外資系コンピュータ会社に入社し、大阪、東京でシステムエンジニアとして働いてきました。
しかし、7年目に入る頃から、慢性的な長時間労働や、希望しない仕事への異動などが影響してか、体調を崩すことになり、システムエンジニアとして働くこと、サラリーマンとして働くことへの限界を感じるようになりました。

私は自分の将来について悩みました。
そして私が出した結論は、「起業家として独立すること」でした。

また、以前より、私の地元である岡山のために貢献できることはないだろうか、と考えていました。
「いつかは岡山に帰って、地元の地域活性化に貢献したい」
この夢を実現するチャンスがとうとう来たと思いました。

このような決意のもとで、私は再度、中小企業診断士を目指すことにしました。
大学院生の時は、漠然とした経営コンサルタントへの憧れでしたが、今回は違います。
独立開業という目標達成の手段として、また「地元への貢献」という夢実現の手段として中小企業診断士を選びました。

今までシステムエンジニアとして培ってきた知識と、これから勉強する中小企業診断士の知識をもって、独立診断士という自由な立場で仕事ができれば、きっと自分の夢が実現できると考えました。
もちろん、独立や資格取得に伴う困難や苦労はたいへんなものがあるでしょうが、それも覚悟の上での決意でした。

こうした自分の将来のビジョンは、試験勉強中、常に心に描き続けていました。
このことが、中小企業診断士の試験勉強に対するモチベーションを高いレベルで維持させてきた理由だと思います。

試験勉強開始〜勉強手段の選択(第2話)

中小企業診断士の勉強を始めたのは、2006年10月19日です。
ここから約15ヶ月間の試験勉強が始まりました。

ちなみに、この日までは、「ソフトウェア開発技術者」という情報処理技術者試験の勉強をしていました。(現在の「応用情報技術者」に相当する資格です。)
ここでは残念ながら不合格だったのですが、試験科目の1つ「経営情報システム」と重複した内容もあり、その点はシナジー効果があったといえます。

中小企業診断士の勉強を始めるにあたり、最初に考えたことは、市販の本などを使用して独学で勉強するか、それとも予備校に通うか、の選択です。
私は、独学では強制力が弱く、モチベーションが続かないと判断しました。また、講義を聴いて勉強するほうが、難解な内容も理解しやすいと判断し、予備校に通うことにしました。

次に予備校の選択です。地元の岡山で通学できる予備校は、TACとLECの2校でした。
大学院時代に既にTACに行っており、今回は異なる予備校の講座を聴いてみたかったこと、また、友人がLECに通っていたこともあり、今回はLECを選びました。

ただし、LEC岡山本校は、すべての講座がDVD講座でした。
その点は、モチベーションの維持や人脈の広がりに不安を感じましたが、DVD講座であってもLECの看板講師の講義が聴けるのであれば、きっと合格が近づくはずだ、と割り切ることにしました。

「擬似」合格体験記作成(第3話)

中小企業診断士の試験勉強をはじめる前に、勉強法の本を2冊読みました。
『できる人の勉強法』と、『夢をかなえる勉強法』の2冊です。

どちらもすばらしい本なのですが、そのうち、『夢をかなえる勉強法』の中に、「勉強を始める前に合格体験記を書く」という教えがありました。
私はそれに従って、「擬似」合格体験記を書くことにしました。
私は試験勉強中、時々この擬似合格体験記の内容を読み返すようにしていました。
この擬似合格体験記は、会社でいう「経営ビジョン」のような位置づけになったと思っています。

小さなことのように見えますが、今から考えると、とても重要なことだったと思っています。

学習開始期の勉強法-DVD講座速聴(第4話)

勉強を始めた頃の私は、幸か不幸か無職でしたので、勉強する時間はたっぷりありました。

通学講座のある日(週2日)は、予備校に通ってDVD講座を受講していました。
1講座は3時間ですが、DVD講座の時は、私は1.2〜1.5倍速再生で聴いていました。
講座のない日は、カセットテープをセルフダビングして家に持ち帰り、1.2〜2倍速再生で聴きました。

「速聴」は集中力を高めるために効果があると言われていますが、中小企業診断士の勉強を始めた直後だったことも影響してか、集中力は高まっていたように感じました。

学習開始期の勉強法〜サブノート作成(第5話)

通学講座1講座につき、約3時間の復習時間を設け、サブノートの作成を行いました。
ただ、この時に作成したサブノートは「書いて暗記する」ために作成したもので、結局それ以上には活用できず、その点は少し後悔しています。

そこで、試験が近づくゴールデンウィーク前後から、今までの学習で暗記できていない論点を再度書き出した、新たなサブノートを作ることにしました。

サブノートは、1次試験の7科目に分けて作成し、暗記できていない論点を、気づいたものから順に書き込んでいく形式にしました。
このサブノートは1次試験、2次試験の試験会場でも活用することができました。

試験勉強と仕事の両立(第6話)

勉強を始めた頃は無職でしたが、第1次試験を4ヶ月後に控えた時点で、再びシステムエンジニアとして就職することになりました。

ただ、独立開業を決意していたこともあり、また、残業は控えめにして、試験勉強に集中したいこともあって、正社員ではなく派遣社員の道を選びました。

また、職場は家から自転車で10分以内で行ける好立地でした。
こうした仕事に巡り会えたことは、非常に幸運だったと思います。

とはいえ、無職の時と比べれば、大幅に勉強時間は制限されることになりました。
私は、朝6時に起床するようにして、朝の勉強時間を確保しました。
また、昼休みも勉強時間に充てました。
夜は、定時に仕事を終えて、まっすぐ自宅に帰るか、予備校に行って勉強しました。

朝は、もっと早起きする人もいると思いますが、私としては、6時間の睡眠時間は確保するように心がけました。
最適な睡眠時間の長さには個人差があると思いますが、最低限の睡眠時間の確保は、勉強への集中力を確保するためには重要だと思います。
ただ、本試験直前期には、5時間の睡眠時間確保がやっと、という状態になってしまい、やはり体調もあまり思わしくなかったです。

朝の勉強時間は重要だったと思います。
集中力も違います。

WBSによる進捗管理(第7話)

第1次試験を4ヶ月後に控えた時点で、再びSEとして就職するとともに、昨秋不合格だった情報処理技術者試験の「ソフトウェア開発技術者」(現在の応用情報技術者に相当。)に
再チャレンジしました。
試験科目の1つ「経営情報システム」と重複した内容もあり、シナジー効果を発揮して、合格することができました。

このソフトウェア開発技術者の勉強スケジュール策定にあたって、プロジェクト管理手法の1つであるWBS(Workload Breakdown Structure)を活用したのですが、これを中小企業診断士の勉強に応用することにしました。

試験合格のためにやるべきことをリストアップして、それを1、2日から1週間単位の勉強内容(To Do)に細分化し、開始日、終了日の予定と実績を管理しました。

具体的には、
大項目には「○○演習講座(2回目)」「2006年過去問」など、
小項目には「財務・会計」他、全7科目を設定するなどして、
それぞれの小項目の開始予定日、終了予定日を決めていきます。

本試験当日までにやるべきことを、どの程度のスピードでこなせば間に合うかが把握しやすくなりました。
私は、このWBSを試験合格まで使い続けました。
今から考えると、中小企業診断士の勉強を始めた時から活用すべきだったと思います。

ちなみに、今現在も、私にとってWBSは重要な位置づけにあり、私の仕事のスケジュール管理、To Do管理に大いに活用しています。
(本来のWBSは、これ以外に工数管理などにも活用できます。)

一次試験対策

一次試験直前期勉強法(第8話)

第1次試験の勉強で、お尻に火がついたのは、ゴールデンウィークでした。

ゴールデンウィークに、予備校で「達成度確認テスト」という、過去2年間の本試験から厳選した問題を解く「擬似」模擬試験を受けました。
しかし、結果は散々でした。
得意の経営情報システムが100点満点だった以外は、予想以上に低調だったのです。

私がこれ以降重視したのは、

1. 問題を繰り返し解くこと
2. 暗記すること

の2点です。

まず、テストで間違えた箇所、記憶しきれていない箇所をサブノートに書き出し、徹底的に暗記しました。
そして、間違えた箇所を繰返し解きました。
過去問と答案練習講座についても、同じような方法で解いていきました。

過去問の使い方

過去問については、過去3年分の問題に取り組みました。
予備校のホームページから過去問をダウンロードして、それを印刷して解きました。(会員のみ利用可能でした。)
2001年からの過去問がありましたが、時間不足もあり、過去3年分であきらめました。
ただし、苦手科目だった財務・会計については、2001年まですべて解きました。

過去問を勉強する上での注意点は、試験当時から法律が変更になっている可能性があることです。

特に中小企業経営・中小企業政策、経営法務、財務・会計などは要注意です。
他の科目にも法律問題があります。

そのため、出題当時に作成された解答を丸暗記するのは危険です。
私は、そうした懸念もあって、過去問は3年分でよいと判断しました。
もちろん、時間があれば「この法律は変更になったはず」などと考えながら解けば、効果を見込める可能性もあります。

私が唯一2001年分まで解いた財務・会計については、苦手科目から得意科目に転換させることができました。
これが現在の中小企業診断士実務でも役立っています。

一次試験直前期・模擬試験活用(第9話)

第1次試験試験直前の6月末から7月初旬にかけて、TACとLECの模擬試験を受験しました。

結果は、TACは高評価でしたが、LECの方は厳しい結果でした。
しかし、模試の結果にうろたえず、模試の試験問題も、やはり今までと同様に、理解できていない箇所をサブノートに書き出し、解答を暗記するつもりで繰返し解きました。

振り返ってみると、模擬試験を2回受験したことは、私にとっては正解でした。
模擬試験では、時間が足りなくなってアタフタ、の繰返しでした。

試験前半で難問にあたると、諦めるまでに時間がかかってしまい、結果として、試験問題後半にある基本レベルの問題を解けずに時間切れ、というケースもありました。

この反省点を踏まえて、本試験では、「これは即答できない」と感じたら、すぐに次の問題に進むことを徹底しました。
おかげで、本試験では7科目すべてで見直しを行う余裕時間を作ることができました。

また、現時点での苦手科目も明確になりました。
2つの模試を通して成績が悪かったのが、財務・会計でした。
過去の合格者の合格体験記などを見ていると、「財務・会計の計算問題は毎日解いた」とのお話がありました。
私にもこれが必要だと思い、これ以降ほぼ毎日解くことになりました。

一次本試験に臨む(第10話)

試験直前の木曜日と金曜日は、会社を休んで勉強に集中しました。

私には「あとで絶対後悔したくない」という強い気持ちがありました。
あとで、「こうやっておけば合格したかもしれない。。。」などと考えたくなかったので、できることはすべてやろうと決めていました。

本試験前日は、模試の問題と、答案練習講座の問題を最後にもう一度解きました。
同じ問題が出題される可能性があるからです。
事実、運営管理では、建築基準法第2条の「延焼のおそれのある部分」の定義に関する問題で、答案練習講座と全く同じ問題が出題されていました。

本試験当日の休憩時間は、5月以降作成してきたサブノートを見直しました。
記憶しにくい論点をたくさんメモしていますので、非常に便利でした。

本試験では、模擬試験での練習の効果が発揮されました。
試験前半で難問にあたっても、すぐに次の問題に進むことができ、7科目すべてで見直しを行う余裕時間を作ることができました。

結果として、第1次試験は合格することができました。

二次試験筆記対策

二次試験筆記対策〜勉強手段追加(第11話)

1次本試験が終わって1週間後、予備校の「2次解法答練」が始まりましたが、なかなか解答作成のコツが掴めずにいました。
そして、8月末から9月にかけて、LECとTACの模擬試験を受けましたが、結果はどちらも散々なものでした。

模試を受けた時点で、私はある決断をしました。
日本マンパワーの通信講座である「2次試験対策CD-ROMスクール」を受講することにしたのです。
受講中だった予備校の講座だけでは、問題数が足りないと判断したからです。

手を広げすぎることへの警戒感もありました。
しかし、私は「試験終了後に後悔しないために、今何をすべきか」を考えました。

「やれることはすべてやった。」試験後にそう感じたい。
私は、通信講座を受講せずに後悔するよりも、手を広げすぎて後悔するほうがよいだと判断しました。

CD-ROMスクールでは、違った視点を得ることができ、特に「真因訴求」のやり方を理解できたことが大きかったです。
それまでの私の解答では、「原因は何か」との問いに対して、与件文の該当箇所を書き出すに留まっていましたが、
CD-ROMスクールを受講して、「与件文に書かれた状況が発生している真の原因は何か」まで深く解答することができるようになりました。

また、本試験の事例3で出題された従業員満足と顧客満足に関する設問は、CD-ROMスクールの演習問題とかなり類似した設問でした。
これは非常に大きかったです。

二次筆記試験対策勉強法(第12話)

第2次試験の勉強量ですが、私は、合格者の体験記などから考えて、最低限の量として、100事例は解いておきたいと考えていました。
実際には93事例しか解くことができませんでしたが、ある程度の量をこなさないと、2次試験問題に隠された普遍性・パターンなども見えてこないと思っています。

また、こうしたパターンや解答のコツを掴むため、事例を解くごとに、気づいた点・反省点をサブノートに書いていきました。具体的には、

「設問間のつながりをもっと意識して解答すること」
「与件文の記述から一歩踏み込んだ解答を書くこと」
「強みとして抽出した内容は、後の設問で必ず使用すること」

など、20箇条程度になりました。
これらの内容は、試験直前にも参照することができ、効果的だったと思います。

サブノートには、解答作成で使用した「解答の切り口」についてもメモしていきました。

「顧客、競合、自社」(3C分析)
「営業面、生産面」
「共通目的、貢献意欲、コミュニケーション」(バーナードの組織成立の3条件)

など、解答の切り口をまとめておき、暗記するようにしました。
これは実務でも利用できます。

2次試験対策についても、財務の計算問題は、ほぼ毎日解くことになりました。
予備校の財務事例DVD講座で、「今の時期にこんな問題も間違えるようでは話にならない」との説教があり、我に返りました。
1次試験が終わってからの2週間ほど、毎日の継続学習を止めていたのです。
私はすぐに再開することにしました。

また、勉強仲間と日曜日の午前10時に予備校の自習室に集まって、本試験と同一スケジュールで事例を解くという、「本試験リハーサル」を2度実施しました。
これも本試験でのリズムを掴むために、非常に有意義だったと思っています。

二次筆記試験対策〜過去問利用(第13話)

過去問は、1次試験対策とは異なり、2001年から6年分、合計24事例をすべて2回どおり解きました。
予備校の講師より、「最後はとにかく過去問に集中してください」との話があり、それを忠実に実践しました。
模擬試験など、過去問以外については、繰返し解くことはせず、論点、切り口を見直す程度にしました。

ここで注意すべき点は、2次試験の過去問については、中小企業診断協会から模範解答が提示されていないことです。
ですので、予備校ごとに様々な模範解答が出されており、どれが正解かも不明です。
結局は、何度も過去問に取り組んで、予備校の模範解答が正しいのか、それとも自分の考えた解答が正しいのか、自己責任で判断する必要があります。
これこそが中小企業診断士の第2次試験が難関である所以です。

なお、過去問を深く分析するために、私は、『中小企業診断士2次試験「80分間の真実」―合格者15名の再現答案とその思考プロセス』とその続編の3冊を購入しました。

2004年から2006年までの過去問について、合格者の解答ランキング、再現答案とその思考プロセスが示されています。
私は、特に解答ランキングを重視して、合格者と自分の解答の差を確認し、その差を縮める努力をしました。

※私の受験以降も、上記本の続編『中小企業診断士2次試験ふぞろいな合格答案2019年版』が出版されています。

二次筆記試験直前期勉強法(第14話)

ここまでいろいろやってきましたが、まだまだ合格への手応えが掴めていませんでした。
私はLECの通信講座を3つ受講することにしました。

1. 第2次試験「今年も当てる財務事例」(DVD講座)
2. LECの裏模試「中村・金城の直近1次試験から2次出題テーマを当てます!」(DVD講座)
3. 「一夜漬けで掴む!2次合格答案のコツ」(WEB講座)

それぞれの講座について、総まとめの意味で効果があったと思っています。
ただし、直前期の試験勉強の基本は、過去問を解くことです。
これらの講座で解法などの確認や、新たな気づきを得た後、再び過去問を解くようにしていました。

本試験直前の木曜日と金曜日は、やはり休暇を取得しました。
この金曜日に、私は試験時間80分間の使い方を変更することに着手しました。
試験直前でこのような変更をしてもよいものか不安でしたが、ここまで89事例を解いてきた末に行き着いた結論だと思い、良しとしました。

これまでの80分間の使い方は、以下のとおりです。


0〜4分:
・与件文の最初の段落と最後の段落を読む。
・設問をすべて読む。

4〜35分:
・強み、弱み、機会、脅威、経営ビジョンの箇所に蛍光ペンで線を引きながら、与件文を読む。
・解答に使う与件文に丸をつけ、その横に、どの設問で使うかをメモする。

36〜80分:
・解答を記入する。
・見直しをする。


しかし、これでは、解答記入時に解答の組み立てを考えながら記入する必要があり、
考えがまとまらずに時間切れになることがありました。
そこで、以下のような時間の使い方に変更することにしました。


0〜4分:
・与件文の最初の段落と最後の段落を読む。
・設問をすべて読む。

4〜40分:
・強み、弱み、機会、脅威、経営ビジョンの箇所に蛍光ペンで線を引きながら、与件文を読む。
・設問の下に解答のドラフトを書き込む。

41〜80分:
・解答を記入する。
・見直しをする。


変更点は、解答準備の時間を35分から40分に延長し、そのかわりに、解答のドラフトを作ってしまうことです。
ここに来て、この解法が最も自分に合っていると判断しました。

この解法を使って、自分が気に入った過去問を4事例ピックアップして、残りの2日間で解きました。
本当は、この解法でもっと事例をこなしたい、という気持ちもあったのですが、時間的、体力的な限界もあり、ここで打ち止めとしました。
試験直前まで気合を入れ続けてきたので、かなり疲れ果て、

「もうやれることはすべてやった」
「もう後悔はしない」

という気持ちの方が強かったのです。

二次筆記本試験に臨む(第15話)

試験会場には朝9時に行き、予備校が当日朝に配布していた「直前アドバイス集」を受け取りました。
これと、サブノートを確認して試験に臨みました。

事例1では、契約社員に関する事例が出題されました。
私は派遣社員として働いていたので、答えやすい設問もありましたが、事例全体としてはかなりの難問でした。
しかも、解答欄を書き間違えるミスを2回も繰り返してしまい、5分くらいロスしました。
ただ、何とかすべての設問を埋めることができ、大事に至らずにすみました。

「時間をロスしなかったら、もっと考えて解答を書けたのに。。。」
そう思いながらも、さっさと頭を切り替えることにしました。
この日は自分でも驚くほど集中力が高く、全事例が終了して、友人と感想を語り合うまで、そのショックを思い出すことはありませんでした。

私自身、これほど体力を消耗する試験を受けたのは今回が初めてだと思います。
試験開始前、難問にぶつかった時、試験終了間際の追い込みなど、心臓の鼓動の高鳴りが何度もありました。
それもこれも、第2次試験のこの日まで、「絶対合格する!」という気持ちで、全身全霊で取り組んできたからだと思います。

1日に何回も全力疾走を繰り返したような気分です。本当に疲れました。

二次口述試験対策

二次口述試験対策〜再現答案作成(第16話)

筆記試験結果発表までの46日間に私が最初にやったことは、再現答案(復元答案)の作成です。

日本マンパワーのサイトに筆記試験の解答用紙があったので、それをダウンロードして、筆記試験の解答を記入していきました。
私は、筆記試験終了後の脱力感から、なかなか筆が進まず、作成に20日ぐらいかかってしまいましたが、できれば、再現答案の作成は、試験直後、もっと早めに終わらせるべきだと思います。

再現答案は、LECで「2次試験再現答案添削サービス」というインターネットの有料サービスがあり、そちらに申し込んで添削してもらいました。
この再現答案は、口述試験対策でたいへん役に立つことになりました。

また、日本マンパワーにも再現答案をFAXで送付しました。
こちらは、模範解答(速報版)がもらえて、口述試験の模擬面接を無料で受講できる特典がありました。

二次口述試験短期間勉強法(第17話)

口述試験対策で重要なことは、大きく2つあります。

1. 面接に慣れること

筆記試験の合格発表に感動している間もなく、私は、その日のうちに予備校のホームページで口述試験対策の情報を調査しました。
岡山では口述試験対策の模擬面接は実施されないので、大阪に行って受講することにしました。

2日後の日曜日にLECと日本マンパワー、本試験前日の土曜日にTACの模擬面接を受講することにしました。
3回も受講する必要があるのか、とも考えましたが、「あとで絶対に後悔したくない」と思い、受講することにしました。
3回の模擬面接は、声の大きさなどで指摘点はあったものの、すべてにおいて高い評価をいただきました。
これは本試験に向けての自信につながりました。

2. 与件文を確実に理解すること

日本マンパワーの模擬面接時に「想定質問集」を入手することができ、すべての想定質問に対する自分自身の解答を、キーワードレベルで書きこんでいきました。
LEC、TACでは、想定質問とその解答も記述された「想定問答集」を配布していました(LECは有料)。

しかし、この想定問答集をすべて暗記することは不可能ですので、いかに自分の言葉にして解答するかを考えながら読んでいきました。
また、事例問題の与件文の写経(ワープロソフトでの打ち込み)も行い、与件文に対する理解を深めていきました。
入手していた予備校の模範解答も入念にチェックして、各設問に対してどのような解答アプローチがあるのかを確認しました。

LEC「2次試験再現答案添削サービス」の添削結果も活用しました。
こうしたプロセスを通して、与件文で今まで気づかなかった点、本試験時に勘違いしていた点を発見することができ、与件文の確実な理解に近づいたと思います。

二次口述本試験に臨む(第18話)

口述試験では、以下のような質問がありました。

事例4:
1. D社の設備投資がキャッシュフローに与える影響を述べよ。
2. D社が複数の投資案を持つ場合に、どうやって意思決定すれば良いか。

事例3:
3. Xブランドの社員の満足度が低い理由は何か。
4. 社員のモチベーションを上げるために、やるべきことは何か。
他に、中小企業という特徴から、モチベーションを上げるための方策はあるか。

「まだ時間があるから」と前置きがあって、、、

事例2:
5. B社の従業員満足度と顧客満足度の関係を述べよ。

再度、「まだ時間があるから」と前置きがあって、、、

6. 今までの質問で、言い足りなかったことはあるか。

以上の6問でした。

1.〜5.については、最低限の解答ができたと思っています。
ただ、「まだ時間があるから」と2度も言われた理由は、各質問に対する解答が短すぎたからです。
1問につき約2分で答えることが原則ですので、もっとゆっくりとしたペースで話すべきだったと反省しています。

6.については想定外の質問でした。
直前の質問以外に何も思い出すことができず、約10秒の沈黙の後、5.について補足説明を行うことにしました。
しかし、5.については既に話し尽くしていて、話すことが見つからず、的外れな解答をしてしまいました。

「これで本当に合格できるのだろうか。。。」
合格発表の日まで落ち着かない時間を過ごすことになりました。

そして、合格発表。
筆記試験合格者800人中799人が合格しており、私も合格者の中に含まれていました。
6.での解答がひどく、不安な日々を送っていたので、ホッと一安心でした。

中小企業診断士ストレート合格に向けて(第19話)

中小企業診断士はとても難しい試験です。
「喉元過ぎて熱さ忘れる」という諺がありますが、試験が終わって数年が過ぎた現在でも、「熱さ」を忘れられません。

私は運良く合格することができましたが、ある程度(といっても大変な量ですが)の勉強をした方にとっては、合格と不合格は紙一重のように感じます。

紙一重の差がどこで得られたかを考えてみると、「自分の夢を実現したい!」という希望がどれほど強いか、だと思っています。
また、自分の夢と中小企業診断士の資格が結びついていることも非常に重要です。

中小企業診断士の資格を取得できれば、きっと夢に近づける。
そう信じたから、私はがんばれました。
私の場合、夢を叶えるために、時間はもちろんのこと、プライド、恥、そして収入も犠牲にしました。
将来、夢が叶うと思えば、私にとってはこれらは小さなことでした。

また、成功意識を持ち続けることも重要です。
私は、「絶対に合格する!」といつも心に念じてきました。
周りの人にもそう伝えてきました。

もちろん、弱気になった時もありましたが、周りの人に対しては、「絶対に合格する!」と言い切っていました。
これによって、成功意識で心を満たすことができ、合格に向けて最大限の努力を最後まで続けられたと思います。

そして、当然のことながら、中小企業診断士の資格は自分一人の力で取得できるものではありません。
友人、家族、職場の方々の協力がなければ、合格は決して勝ち得なかったです。

本当に感謝しています。

こうした目に見える力、さらに目に見えない力に支えられながら生きています。
そんな「力」への感謝を忘れないことも重要だと思います。

修行僧のようになること(第20話)

中小企業診断士試験についてアドバイスを求められた際に私がお伝えしているのは、ズバリ「修行僧のように勉強してください」ということです。

今から考えると、時間的にも精神的にも、ほんとに勉強に没頭していたなと思います。

朝6時に起きて勉強を始め、職場で昼休みに勉強し、定刻過ぎたら、まっすぐ家に帰るor予備校に行って勉強を始める。
勉強は体が資本なので、夜は0時には寝る。
(追い込まれて眠れないときも多々ありましたが。。。)

これを規則正しく数ヶ月、試験合格まで繰り返しました。

中小企業診断士試験の難易度は、受験生それぞれの能力や経歴によって、かなりの差があると思います。
簡単だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも、私にとっては超難関でした。
ここまで勉強に没頭できなかったら合格はなかったはずです。

もちろん、ただ単に努力しただけではたいへん厳しいです。テクニックはたいへん重要です。

中小企業診断士取得の副次効果(第21話)

私が中小企業診断士に登録、独立開業してから、2020年4月をもって12年になります。

この12年間、紆余曲折もありましたが、何とか業績を安定させて、雇用までできるようになったのは、私の周りの方々のご協力があればこそだと思います。
とてもありがたいです。

資格取得して同じく12年になりますが、資格を取得したメリットを考えてみました。
もちろん、「仕事に使える」というのが最大のメリットですが、それ以外の「副次効果」についてです。

人脈が増えたこと

中小企業診断士の資格を得てから、私の人脈は大きく広がりました。
岡山県中小企業診断士会に入ったこともありますが、それ以外の場でも、特に中小企業の支援機関など、中小企業診断士の能力が生かせる場での人脈形成ができました。

勉強癖が身についたこと

中小企業診断士の資格を得た後、その勢いで勉強を続け、情報処理技術者試験のシステムアナリストに合格しました。
そして10年後の2018年には国内旅行業務取扱管理者試験に合格、2019年には総合旅行業務取扱管理者試験に合格しました。
中小企業診断士の資格を得る際に培ったテクニックは、他の試験でも通用しているようです。

また、テクニックだけでなく、読書癖、調べる癖など、「知識吸収欲」とでもいうべき能力が身についたと思います。

中小企業診断士の試験勉強中に、福沢諭吉『学問のすすめ』の一節に出会いました。

「人は生まれながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。」

中小企業診断士試験の勉強で、相当な時間をかけて勉強をしましたが、「勉強癖」はこれからのAI社会を生き抜く上では必須の「癖」であります。
これからのAI社会では、ITでできる仕事は一気にIT化が進みます。IT化不可能な仕事=人間にしかできない仕事だけが残っていきます。人間にしかできない仕事は、それなりに時間をかけて勉強することで到達できることばかりです。

私が中小企業診断士試験で、仕事の合間、家族とのふれあいの合間を縫って、勉強する癖を身につけられたのは、私の人生にとってとても大きなことだと思います。

資格は「武器」「道具」

こうした副次効果は、「中小企業診断士の資格を利用して何を始めるか」という視点が重要なのだと思っています。

資格は「エンジン」ではなく、「武器」「道具」です。
エンジンは、まさに自分の心の中にあるのだと思います。

私について言えば、私のエンジンは、
「地域活性化へ貢献したい」
「独立して成功したい」
という強い信念だと思っています。

「家族・家庭の発展」
「日本の未来の発展」
という信念もあると思います。

私は中小企業診断士の資格を取得することで、エンジンに拍車をかけることができました。

ただ、中小企業診断士の資格を取得しても、自分の顧客を増やす販路開拓ノウハウまでは得ることができません。
私はその問題をコーチング・ファシリテーションを学ぶことで解決しました。

資格は、持っているだけでは差別化できません。
「どう活用していくか」という視点が重要です。

中小企業診断士試験勉強中に私を支えてくれた名言と名曲(第22話)

中小企業診断士の勉強中に、私を支えてくれた名言と音楽を集めてみました。
以下の3つの名言は、勉強机の目の届くところに置いていて、これらの名言を振り返りながら勉強していました。

私を支えてくれた名言

診断士の勉強中は、特に模擬試験では何度も失望を経験しました。また、2次本試験が近づいても合格への手応えが掴めず、自分の学力もこれが限界か、と愕然としたこともよくありました。
そんな時に、これらの名言にすごく助けられました。最後まであきらめずに努力できた要因の一つは、こうした名言のおかげだと思っています。

「失望の中にこそ、誠の大望は生ずる」

2007年NHK大河ドラマ『風林火山』で、武田晴信(信玄)が山本勘助に言った言葉です。
この言葉を聴いたのは2007年1月だったと思いますが、深く印象に残り、メモしていました。

「限界だと思ってからが挑戦である」

ブラジル人F1ドライバーのアイルトン・セナが語った言葉です。
伊藤真さんの『夢をかなえる勉強法』で拝見しました。

「あきらめない夢は終わらない」

これはLECのオンライン講義で聴いた言葉です。(この名言のオリジナルは、THE ALFEE高見沢俊彦さんかもしれません。)

私を支えてくれた名曲

『MY HEART DRAWS A DREAM』

こちらは、L’Arc~en~Cielのシングルです。(この曲は、アルバム『KISS』にも収録されています。)これを毎朝の目覚ましに使っていました。歌詞の中に「夢を描いてくよ」というフレーズがあり、これを毎朝聴くことで「診断士に合格して、自分の夢を絶対に実現する!」という気持ちを持ち続けられたのかな、と思っています。

『心にきく薬奏 サブリミナル効果による不安解消』

こちらは、2次試験の勉強中にBGMとしてよく聞いていました。穏やかな曲ばかり入っていて、波の音とかもすごく心地良いです。2次試験直前のイライラした状況で、なおも冷静に勉強に集中できた要因の一つがこのCDだったのかな、と思っています。

関連記事

特集記事

TOP
CLOSE