「起業」が私に与えてくれたもの
私が起業してから12年2ヶ月。
「起業」が私に与えてくれたものは計り知れません。
サラリーマン卒業時には、将来のあてがあったわけでもなく、ただただ「夢」があったのみ。
安定を失うことへの不安ももちろんありました。
このブログも、そんな不安の中で2006年から書き始めたものです。
それも今は昔。
今となっては、不安定に対するリスクも受容できるような心持ちになっています。
独立して良かった理由の一つは、
・自分の好きなことを仕事にできる、
・好きな相手と仕事できる、
・好きな時間に仕事ができる、
などなど、仕事選びの自由度が大きいこと。
もちろんデメリットもあります。
独立すると「自己責任」が大きくのしかかってきます。
仕事を見つけるのも自己責任、断るのも自己責任です。
「顧客ニーズ」「自分の得意分野」「やりたいこと」の交差点をうまく見つけて、販路を開拓していく必要があります。
これを苦痛と思うか、喜びと思うか。
それはその人次第だと思いますが、私自身、最初は不安でいっぱいだったのが、今では「喜び」になってます。
起業家の先達からは、不安定を受け入れる覚悟が多く聴かれます
サラリーマン時代は「収入不安定=悪いこと」のように感じていましたが、起業するにあたって、また起業後にたくさん本を読みましたが、私のサラリーマン時代の感覚と正反対の意見が多数見受けられました。
貧乏になる男は「会社で働けば安定する」と考え、金持ちになる男は「会社は不安定」であることを知っている。
スティーブ・シーボルド著『金持ちになる男、貧乏になる男』に出ていた一説です。
私も学生時代の就職活動中には、「大企業で働く=安定」と考えた時期がありました。
入社後1年3ヶ月後に仕事中にダウンして、救急車で運ばれたことから、「会社は不安定」と感じるようになりました。
現在は、私はサラリーマンから経営者となり、採用活動を行う立場に変わりました。
採用活動を行う上で、最も重視することは、「会社は不安定」ということを理解していただけているか、です。
「安定のために入社する」方とは残念ながら意見が合わないと思います。
「自分の夢・思いを実現するために弊社を利用する」方と一緒に仕事がしたくて、採用活動をしています。
「自分の夢・思い」には、「家族と仕事との両立」といった方や、「自分の事業の合間に働きたい」といった夢に邁進されている方、「弊社のビジョンが自分の思いにマッチしている」と思っていただける方と一緒に仕事をしたいと思っています。
安定を求めるようになると成長が止まる。安定を求めるのではなく、不安定の中で革新を求める方がよい。
ユニクロ創業者の柳井正さんの本『一勝九敗』からのメッセージです。
安定を求めようとすると、現在の取引先におもねってしまったり、変化に対する恐怖心が生まれてしまいます。
ユニクロも中小企業から現在の大企業へとのし上がった会社です。不安定に挑み続けた結果として今に至ったに違いありません。
安定とはつまり、人を怠惰にするものだと私は感じています。人によっては成長する意欲を削ぐものであると、独立してみてさらにその思いは強くなりました。
村上アシシ著『半年だけ働く。』にあった一節です。
私は独立後、「安定が一番」と考える方とは、全く意見が合わなくなりました。
「自分が成長できないことを、他人のせいにする」ことも無くなりました。
サラリーマンの時から「成長する意欲」はあったと思いますが、安定を捨ててからは「成長する意欲」はそれ以上に上がったと思っています。
機会よりも安定を求める人が多いが、それは死ぬことより生きることを恐れるようなものだ。
アメリカ合衆国の国務長官をされていたジェームズ・フランシス・バーンズという方の名言です。
私は、独立を決意した際に、「死ぬときに後悔したくない」との思いで独立の道を選びましたが、まさに12年前に「安定」を捨てたことが私を生かしてくれたと思っています。
安定は情熱を殺し、不安苦悩こそが情熱を生む。
フランスの哲学者アランの言葉です。
私自身も、不安を受け入れて、それを情熱に変えて活動しています。
同感できない方もいらっしゃるかもしれません。確かに人間には、変化を怖がって保守的になる傾向にあります。
しかし残念ながら、安定からは情熱は生まれてきません。
居つくは、死ぬる手なり
宮本武蔵『五輪書』(水之巻)の一節です。
本来の意味は、太刀の動きや手の持ち方に関する教えなのですが、「変化しないことを良しとしない」考え方を表したものでもあります。
変化の中にあっても、自分以外のモノ・コトを言い訳にするのではなく、常に自分で責任を持って、「今自分のできる精一杯」でもって、変化を受容できるようになりたいものです。
最初は怖いでしょうが、今にきっと楽しく感じられるようになるはず。そうなれるような心の持ち方、人生設計、そして経営戦略を日々考える必要があります。
変らずに生きてゆくためには、自分が変らねばならない
1963年公開のイタリア・フランス合作映画『山猫』の台詞です。
いつしかの民主党選挙で小沢一郎さんが引用されておられました。私もそこでこの台詞を知りました。
経営者、起業家にとってたいへん重要な言葉だと思います。
経営者、起業家として、「ブレない軸も必要」ですし、「自分が変わることも必要」です。
一見、矛盾しているように見えますが、実は全く矛盾していません。
この名言は、それを見事に表現しています。
世界に変化を求めるなら、自らがその変化となれ
インドの偉人マハトマ・ガンジーの言葉です。
自分一人の力では到底変わらない、と思う出来事はよくありますが、逆に、たった一人の変化から世の中が変わることを、マハトマ・ガンジーは自身で経験したのだと思います。
他人に「変われ」と言っても、簡単に変わってくれる訳がありません。「他人に変わることを強いて、自分だけ安定を指向する」そんな生き方は通用しません。このコロナ禍で、さらに通用しなくなりました。
不安定と隣り合わせになれるために事業計画を策定する
起業は「不安定」と隣り合わせです。事業計画をしっかり作って、計画と実績との乖離を注視しながら、不安定を受け入れていくことが肝要です。
私も創業時から毎年、事業計画を策定して、月次決算(翌月第1営業日には出しています)を行って、計画と実績の乖離をチェックしています。
計画を練ることの重要性も、先達が伝えてくださっています。
計画自体に価値はないが、計画を練ることが重要だ
ドワイト・アイゼンハワー大統領の言葉です。
「計画自体に価値はない」とまで言い切られていますが、私はそこまでは思っていません。
計画は実績との乖離を見るために、「計画自体」も大事かと思います。
ただ、ドワイト・アイゼンハワー大統領は「計画=プロセス」だと考えられているのでしょう。
計画策定の段階で、たくさんの議論や調査が行われ、自社の未来のことをじっくり考える「プロセス」が必ず発生します。
「計画づくりは経営コンサルタントに丸投げ」というケースは、私のお客様では、今まで1社も見たことがありません。
計画策定の「プロセス」こそが、会社を強くしていきます。
不安定と共生するために
私は起業家、経営者ですので、これからも不安定の中で生き続けていきます。
コロナ禍の状況にあっては、今まで以上に不安定が広がると思います。
これからも不安定のなかで、変化を恐れず、自己研鑽を続けて、事業計画と「にらめっこ」しながら、世のお役に立っていきます。
また、私の仕事は、変化を望むクライアントの成功、経営判断をサポートすることです。不安苦悩を恐れず、それを情熱に変えていく勇気あるお客様の行動を応援していきます。